タイミングを重んじる。
タイミングを重んじる。
結婚式で葬送曲を奏でる人なんていないし、
真夏のデパートのBGMに「春の海」が流れる事も絶対にあり得ない。
これは周知の事実である。
逆説的に言うと、
夜こっそり行くバーではJAZZがかかっているはずだし、 灯油を売りに近所を回るトラックのBGMは
「北風小僧の寒太郎」(たまにカチューシャ)なのである。
つまり、その場の雰囲気と欲求とのバランスがちゃんととれている訳です。
TPOというんでしょうか。
普段、僕が駅に向かうのは大体にして昼近くである。
朝のラッシュなんて大学生の頃を最後に経験がない。(ラッシュを味わっていないと何だか社会から疎外された気持ちにさせられるのは僕だけでしょうか。)
それでも現状、土曜日だけは朝8時頃には駅にいるので、首の皮一枚で社会と繋がってるという事にして欲しい。
駅に向かうのは昼近くなんだけれど、僕にとってそれはまぎれもなく”朝”なのである。
今回の話は、
その遅い朝に飲む缶コーヒーの事。
今、僕が1番好きな缶コーヒーはワンダの”朝のモーニングショット”(冷た〜い)である。
ちなみに缶コーヒーはコーヒーであってコーヒーではない。と思っています。
味という観点からすると缶コーヒーは”缶コーヒー”という独立したジャンルのように思える。
家やカフェで飲むコーヒーとはあきらかに別の味がする。もちろんまずいとかではなく。
さて、缶コーヒーは総じて甘めなのだけど、
この”モーニングショット”は他にはないキリッとした感じがあり美味しい。
それでいて缶コーヒーらしく甘さもあるという絶妙な具合なのだ。
(余談ですが缶コーヒーのブラックはどうにかならないのでしょうか。あれほど悲惨な飲み物もないんじゃないかなと思う。)
モーニングショットが厄介なのはそのネーミングにある。
この商品、”朝の”とか”モーニング”などと向こう側から飲むタイミングが決められているのだ。
僕は駅前のコンビニで買う事が多いのだけれど、前述した通り僕の朝は朝であって朝ではない時間なのだ。
だから、レジ係の人に
「わっ、この時間にモーニングショットか」とか「こいつずいぶん遅い朝だな」と思われているんじゃないかと思うと、なんだか気がひけてしまう。
もちろんどうでも良いといえば良いんだけど、
こうはっきり堂々とネーミングされているとどうしても意識してしまいますよね。
僕はこの歪みを”痩せ気味なフトシ君状態”と呼んでいます。
それにしてもぼくの場合はちゃんと朝に飲むとか、自販機で買うとか、人目を忍んでこっそり飲むとかできるけど、フトシ君の場合はどうするのだろうか。
日夜、筋トレと”ちゃんこ鍋”でも食らうのだろうか。考えただけでも不幸である。
この際、”昼のデイタイムショット”や”夜のイブニングショット”なんていうものを製造して欲しいと願う。もちろん、味は変えずに。
そうすればいつだってベストタイミングなのである。
そういえば、この間ボーッとサスペンスドラマを見ていたらCMに入った途端、ドラマの犯人役の男(大杉蓮だったと思う)が
浮気も殺しもしないような”良き夫”としてデパートのコマーシャルに登場したのには辟易した。
もうそれだけですっかり白けてしまった。
どうにかならなかったものだろうか。
やっぱりTPOはわきまえるべきなのかもしれない。
2015.2.3